長田区出身の土岐さんと言えば新開地音楽祭です。
毎年色んなセッションを企画して呼んでいただきました。
特に若手やお弟子さん達に活躍の場を作る事に熱心でした。
そう言った育成に力を注いでいた一方、ご自身は、あの圧倒的なトーンとフレーズで孤高の道を突き進み続けられました。
あの一瞬で「土岐さんやっ！」って分かる説得力って凄いと思いませんか？
ある時、地方での演奏を終え、アフターアワーズでフィリピンクラブに連れて行かれた事がありました。
そこのママの知り合いがシンガーだそうで最近アルバムを出したから聴いてくれというのです。
なかなかスムースなアルバムでした。唄が途切れるとサックスが響き渡りました。
「まさか？」私は耳を疑いました。ママにアルバムクレジットを見せてもらいました。
そこに土岐さんの名前があった事は言うまでもありません。
こんな仕事もしたはるんや、と驚いただけでなく、どんな現場でもその空間を一瞬にして支配してしまう土岐さんの
底知れぬ魅力に圧倒された一夜でした。
